中国左翼作家連盟(読み)ちゅうごくさよくさっかれんめい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「中国左翼作家連盟」の意味・わかりやすい解説

中国左翼作家連盟
ちゅうごくさよくさっかれんめい

中国最初の統一した革命的文学運動組織。1930年3月2日上海(シャンハイ)で成立。略称「左連(されん)」。28年以来の革命文学論争で、魯迅(ろじん)・茅盾(ぼうじゅん)と敵対していた創造社、太陽社、我們(がもん)社らが小グループ主義を解消、魯迅・茅盾と連合し、マルクス主義と無産階級の立場にたつ文学者の統一を目ざした。これにより文壇における影響力は一段と強まった。36年抗日統一の機運を受けて自発的に解散するまで、蒋光慈(しょうこうじ)、銭杏邨(せんきょうそん)、沈端先(しんたんせん)、鄭伯奇(ていはくき)、馮乃超(ふうだいちょう)、胡也頻(こやひん)、田漢(でんかん)、洪霊菲(こうれいひ)、張天翼(ちょうてんょく)、艾蕪(がいぶ)、徐懋庸(じょぼうよう)ら、参加者は延べ300人に近く、東京、北京(ペキン)など各地に支部をもった。彼らは逮捕、処刑発禁などの弾圧を冒して『萌芽(ほうが)』『拓荒者(たくこうしゃ)』『巴爾底山(パルテイザン)』『前哨(ぜんしょう)』『文学導報(どうほう)』『北斗(ほくと)』『文学月報』などの機関誌を出すほか、一般誌にも影響力をもち、茅盾の『子夜(しや)』、丁玲(ていれい)の『水』のような傑作も生まれた。魯迅を中心に瞿秋白(くしゅうはく)、馮雪峯(ふうせっぽう)、丁玲らの指導の下、民族文学派との闘い、自由人・第三種人論争、文芸大衆化の追求、新人の養成など、活発に活動したが、政治組織化の傾向を免れず、周揚(しゅうよう)らと魯迅・胡風(こふう)の間に不和も目だった。

[近藤龍哉]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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