改訂新版 世界大百科事典 「蔓割れ病」の意味・わかりやすい解説
蔓割れ病 (つるわれびょう)
fusarium wilt
全身が萎凋(いちよう)しているスイカの茎の地際から30cmくらいまでのところが,割れて白いカビを吹き出したようになる病害。病気のはじめには,昼はしおれ,夜間から朝には生気を取り戻すような状態が続くが,しだいに下葉が枯れ,茎を切ってみると内部の通導組織が褐色に変わっている。水分の上昇が妨げられる導管病の一種である。病原菌は土壌中に生息するFusarium oxysporumで,厚膜胞子は長く土の中で生き残り伝染源となる。だから発病圃場(ほじよう)は5,6年の輪作をしたほうがよい。また菌糸が種子について翌年の発生源になることもある。スイカの栽培にユウガオを台木にした接木苗を用いるのは,つる割れ病に対して抵抗性をつけるためである。キュウリにも同様の症状が発生する。メロンでもF.oxysporumによる病害をつる割れ病と呼ぶが,普通は茎が割れない。もともとこの名はスイカでつけられたものである。
執筆者:寺中 理明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報