精選版 日本国語大辞典 「輪作」の意味・読み・例文・類語
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作物を一定の順序に周期的に交替させて作付けすること。同じ畑に作物を連作すると地力が低下して収量が減る。輪作はこれの防止と、飼料の確保の両目的から、古くヨーロッパの農業において発達した。
初期には土地を穀物畑と家畜飼料用の草地とに二分し、穀物畑の地力が失われてくると草地を畑にして交替させていた。その後、穀物栽培の割合が増えるにつれて、耕地を三区分し、一区は休閑し、他の二区に春播(ま)きムギおよび秋播きムギを作付けて、年々これらを交替させる三圃(さんぽ)式輪作にかわり、さらに休閑地にもマメ科植物を植えて積極的に地力を増す改良三圃式に発展した。また畑をいくつかに区画して、各区に穀物と牧草とを数年おきに規則的に交替させ、家畜を媒介として地力を維持する、穀草(こくそう)式とよばれる農法が行われた。19世紀以降は、休閑地を廃して、マメ科作物や飼料作物を穀物と一定の順序で交替に作付けて、地力の消耗を合理的に防止し、家畜飼料の生産も強化した輪栽(りんさい)式農法が発達した。その代表的なものが、ドイツを中心に普及したノーフォーク式輪作であった。しかし近年は地力の維持・増強は肥料を施すことで可能となったため、輪作はむしろ労力投下の年間平均化や適正配分、災害による危険の分散など経営の合理化や安定のための意義が強くなった。輪作はこのほか、連作による病気や害虫の発生、雑草の増加を防ぐことに効果がある。作物の種類がかわると病害虫・雑草の種類や生態が異なるためである。また草地を輪作に組み込むことによって、土壌侵食を防ぐことも重要な効果としてあげられる。
日本の畑作地では土地の有効利用と地力維持を主眼に輪作が行われ、ジャガイモ―コムギ―ダイズによる2年輪作、ジャガイモ―コムギ―クローバー―トウモロコシの順の3年輪作など、さまざまな形式がある。一般には途中にマメ科作物を組み込んで地力の増加を図っている。最近では畜産の発達に伴って、飼料作物を主軸にして、これに穀物や野菜を組み込む形式の輪作も多くなってきている。なお、水田稲作は連作障害がないので、輪作は必要がない。しかし数年ごとに水田を畑に転換して牧草や畑作物を栽培する、田畑輪換(でんぱたりんかん)は、雑草の防除や土壌線虫の防除などに効果があるうえ、作土の土壌改良に有効で、水稲作にも、畑作にも増収となる。したがって今後の水田作経営においても、輪作の意義は重視されている。
[星川清親]
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…ヨーロッパ中世で典型的に発達した農法で,穀物畑における3年単位の輪作を根幹とする。三圃農法ともよばれる。…
…一方,耕種部門からは作物の茎葉,野菜くずなどの副産物が生産され,これらが家畜の飼料として利用される。さらに,年間を通じて土地の効率的な利用を図るため,同じ土地に同じ作物を栽培することによって生ずる収量の減少,病虫害の発生などを避けるために,夏作物・冬作物,イネ科・マメ科・根菜類などの種類の異なる作物の組合せによる輪作が要求される。飼料作物も輪作作物として重要な役割を果たす。…
※「輪作」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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