薩摩国図田帳写(読み)さつまのくにずでんちよううつし

日本歴史地名大系 「薩摩国図田帳写」の解説

薩摩国図田帳写(薩摩国建久図田帳)
さつまのくにずでんちよううつし

写本 東京大学史料編纂所・鹿児島大学附属図書館玉里文庫など

解説 東京大学本は建武元年の古写本。別に鹿児島大学附属図書館蔵喜入肝付家文書中に抄録写本があり、誤脱個所を補訂できる。建久八年六月在庁官人藤原氏・伴氏・大蔵氏・大前氏らの注進になるもので、総田数および地頭、一円国領・寺社領内訳が記され、次いで島津庄について一円庄の内訳、寄郡内没官領の地頭別内訳があり、さらに島津庄以外の没官領である阿多久吉の記載があり、その後に市来院以下郡・院・郷の地域別田数があげられ、その各々について名別田数、庄園公領・寺社領、寄郡・没官領などの記載、地頭氏名、下司・郡司名主など領主氏名があげられている。図田帳の末尾には「件図田注文、去文治年中之比、依豊後冠者謀叛、彼乱逆之間、被引失畢、仍大略注進如件」とあり、古代末・中世初めの国内の政治社会の緊張状況を反映した記載が所々にみとめられる。活字本に「大日本古文書」島津家文書一・「改訂史籍集覧」第二七冊がある。なお「日本歴史」一三七号の薩摩国建久図田帳雑考で、田数などの補訂が考察されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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