朝日日本歴史人物事典 「藤原敦信」の解説
藤原敦信
平安中期の歌人,漢詩人。大内記の合茂と源等の娘の子。子に文章家として著名な明衡がおり,藤原式家の院政期における儒学,漢学の分野での活躍の基礎をきずいた。文章生となり数々の歌合や詩宴に出席した。寛弘4(1007)年4月の内裏での密宴や長和4(1015)年12月の敦良親王読書始めなどに文人として召し出されている。地方官も歴任したが,晩年は不遇を嘆いて出家したという。あるとき敦信のもとを訪れた文章得業生の藤原国成について「秀才とはいいものだ,わが子明衡もこうなってほしいものだ」と感慨をもらした話が『江談抄』にみえる。『本朝麗藻』に詩を残している。
(朧谷寿)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報