改訂新版 世界大百科事典 「蘇北灌漑総渠」の意味・わかりやすい解説
蘇北灌漑総渠 (そほくかんがいそうきょ)
Sū běi guàn gài zǒng qú
中国,江蘇省北部,洪沢湖の東岸高良澗より北東に,淮安(わいあん),阜寧,浜海県等を経て扁担港口で黄海へ達する人工流路。洪沢湖以東の淮河下流域は,上流部の不安定な降水量により,歴史時代を通じてつねに水害・干害をくりかえし,また沿海地区は海潮の進入もあり塩土化に悩まされていた。解放後,黄河の決壊等で荒廃した淮河流域の総合的治水事業がすすめられ,その一環として1951-52年,この水路が建設された。全長168km,周辺の水田に灌漑用水を供給するだけでなく,洪沢湖より淮河の水を直接排出することで,流域の安定をはかった。また途中には6ヵ所の閘門が設けられ,降水量に応じて水量を調整し,海潮の侵入を防ぐようになっている。1966年には渠首に発電所も設けられた。
執筆者:秋山 元秀
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