日本大百科全書(ニッポニカ) 「虚点」の意味・わかりやすい解説
虚点
きょてん
普通、xy平面では点は実数x、yの順序対(x,y)で表す。x、yの一方または双方が複素数の対、たとえば(1+2i,-3)のような順序対は平面上に表すことができないが、このような順序対も点の仲間に入れて考えることがある。このとき、これらの点を虚点、普通の点を実点という。y=x2+1のグラフはx軸と交わらない。しかし虚点まで考慮に入れれば(±i, 0)が交点である。このように虚点を考えることによって、すべての二次関数y=ax2+bx+cのグラフはx軸と交わることになり、理論がすっきりする。
中心が原点にある円の方程式x2+y2=r2を斉次(せいじ)座標X:Y:Z=x:y:1によって書けばX2+Y2=r2Z2となるから、無限遠直線Z=0との交点は(X, Y, Z)=(1,±i, 0)である。したがって、原点を中心とする円は半径rがなんであってもすべて無限遠直線上の特定の2点(1,±i, 0)を通るという意外なことがわかる。この2点を無限遠の虚円点という。
[立花俊一]