蛸薬師(読み)たこやくし

精選版 日本国語大辞典 「蛸薬師」の意味・読み・例文・類語

たこ‐やくし【蛸薬師】

  1. 〘 名詞 〙 禿頭の人が祈願すると霊験があると信じられている薬師。蛸を食べないと誓って祈願したり、蛸の絵の絵馬を上げたりする。京都新京極永福寺の薬師や、東京目黒の成就院、東京深川の不老山薬師寺のものなどが著名。
    1. [初出の実例]「それよりたこやくしへまいりて、な無やくしるりのつぼぞと思しによくよくみればたこつぼぞかし」(出典:仮名草子・竹斎(1621‐23)上)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の蛸薬師の言及

【タコ(蛸∥章魚)】より

…蛸壺の中にとじこもる性質などから連想された行動かもしれない。タコは形ににあわず美味なところから,これを食うことを禁じて自己の謹慎する誠意を示す意味で,タコを描いた絵馬を奉納して病気の治癒を祈願する風習があり,京都の蛸薬師はもと永福寺本尊で,現在は中京区の妙心寺本尊となっているが,薬師信仰としての治病祈願に,婦人病,小児病の治癒のためタコを禁ずるといって祈願するので名高い。形から妊婦がタコを食べると生まれた子がいぼができるとか,骨なしになるといって,妊婦の食物としては与えないようにすることも俗信として行われる。…

※「蛸薬師」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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