日本大百科全書(ニッポニカ) 「血清クレアチニン」の意味・わかりやすい解説
血清クレアチニン
けっせいくれあちにん
serum creatinine
血液に含まれるクレアチニンの値。腎(じん)機能を知るために古くから検査値として活用されているクレアチニンはCrと略され、メチルグリコシアミジンmethylglycocyamidineともよばれる。血清クレアチニンは筋肉中に多く含まれるクレアチンの代謝産物で、糸球体で濾過(ろか)されて尿中に排泄(はいせつ)されるが、腎機能が低下すると血中濃度が高くなる。すなわち腎不全などで上昇がみられるため、腎機能障害の指標として血清尿素窒素とともに測定される。血中の基準値は1デシリットル中に男性で0.6~1.1、女性で0.4~0.8ミリグラムであるが年齢によって異なり、たとえば50歳代男性では1デシリットル中に1.1ミリグラムを超える場合に腎機能低下が疑われる。尿中の基準値は1日当り0.5~1.5グラムとされる。腎臓病は自覚症状に乏しく気がついたときには慢性化していることが多いため、慢性腎臓病(CKD)という考えのもと、クレアチニンの糸球体濾過率(GFR:glomerular filtration rate)の低下の程度によって重症度を分類するという診断基準が採用されるようになった。
[編集部]