クレアチン(読み)くれあちん(英語表記)creatine

翻訳|creatine

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クレアチン」の意味・わかりやすい解説

クレアチン
くれあちん
creatine

アミノ酸に類似した化合物で、アミノ基のかわりにグアニジン基をもっている。化学式はのようになる。脊椎動物(せきついどうぶつ)の筋肉には多量に含まれる。

 ATPアデノシン三リン酸)によりリン酸化されクレアチンリン酸(エネルギー貯蔵の役目をするフォスファーゲン一種)となる。生合成は、アルギニンからグアニジン基がグリシンに移転する経路で行われる。分解は、分子内脱水により環状化合物クレアチニンとなり、直接尿中に排泄(はいせつ)される。血中または尿中のクレアチニンの量は比較的一定で、筋肉の総量に比例している。

[菊池韶彦]

『丸山工作著『生化学をつくった人々』(2001・裳華房)』『バーク他著、入村達郎他監訳『ストライヤー 生化学』第6版(2008・東京化学同人)』


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クレアチン」の意味・わかりやすい解説

クレアチン
creatine

脊椎動物の筋肉組織中に遊離またはクレアチンリン酸として存在し,筋肉収縮のためのエネルギー貯蔵の役割をする物質肝臓で合成され血中に入り,大部分は筋肉に,一部分神経に分布する。クレアチンの脱水物であるクレアチニンは血液中に出て,腎糸球体でろ過され,ほとんどが再吸収されないで尿中に排泄されるが,24時間で排泄されるクレアチニン量はほぼ一定で,食事内容や尿量にはほとんど影響されない。体重 1kgあたりの尿中排泄量をクレアチニン係数といい,ヤッフェ反応によって検出される。この反応を応用した定量法が広く用いられ,腎機能障害の指標として使われている。

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