共同通信ニュース用語解説 「慢性腎臓病」の解説
慢性腎臓病(CKD)
タンパク尿や、腎臓のろ過機能を示す数値「eGFR」が一定以上低下した状態が3カ月以上続いている場合に該当する。腎炎や腎硬化症、糖尿病性腎症など多くの病気が含まれる。初期は自覚症状に乏しく、むくみや
更新日:
出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
タンパク尿や、腎臓のろ過機能を示す数値「eGFR」が一定以上低下した状態が3カ月以上続いている場合に該当する。腎炎や腎硬化症、糖尿病性腎症など多くの病気が含まれる。初期は自覚症状に乏しく、むくみや
更新日:
出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
CKDは、
小児のCKDは成人に比べて頻度が少なく、原因も大きく異なります。成人では
小児の慢性糸球体腎炎の多くは3歳児検診や学校検尿などで、何の症状もなく発見されます。この段階ではほとんどの場合はCKDの病期ステージはⅠで、腎機能の低下はみられません。かぜにかかった際に急性糸球体腎炎と同様の
進行にしたがって蛋白尿が増加し、やがて腎機能が低下します。腎機能障害が進行すると、高血圧、浮腫、
また、
一方、先天性の異常は、出生前後に超音波検査で発見される場合や、乳幼児では体重が増加しない、多尿、尿路感染症を繰り返すことなどの症状から発見される場合があります。また、まれですが、学校検尿で尿所見の異常や腎機能障害が発見される場合もあります。
急性糸球体腎炎と同様に、尿検査、血液検査を行います。小児の慢性糸球体腎炎の多くは、むくみなどの自覚症状がなく、尿検査で異常が見つかります。とくに血尿・蛋白尿ともにみられる場合は糸球体腎炎である可能性が高く、診断を確定するために
軽度の血尿のみがみられる場合は、定期的な尿検査を続けながら様子をみます。蛋白尿のみがみられる場合は、生理的な体位性蛋白尿(たいいせいたんぱくにょう)(コラム)である場合が多く、これは進行することがないため病気とは考えません。
多量の蛋白尿が続く場合や徐々に増加する場合には、やはり何らかの腎疾患である場合が多く、腎生検を含めた詳しい検査が必要になります。
また、慢性糸球体腎炎は
先天性の異常(水腎症や腎低形成、異形成など)は、尿検査で発見される場合が少なく、体重の増加不良や繰り返す尿路感染症の原因を調べる際に、発見されることがあります。超音波検査、CT検査や腎臓のシンチグラフィといった画像検査で診断を行います。
小児では学校検尿で早期に病気が発見される場合が多く、CKDのステージが軽い段階で治療が開始されます。CKDのステージが軽い段階では運動や食事の制限はありませんが、血尿や蛋白尿が強い時期や特別な治療薬を内服している場合には、激しい運動をひかえる必要があります。また、肥満や高血圧は慢性糸球体腎炎の進行を早めます。むしろ適度な運動や塩分をひかえた食生活が大切です。
CKDのステージが進行すると、高血圧やむくみ、
腎生検で慢性糸球体腎炎と診断された場合には、重症度や症状の強さに応じて治療を行います。炎症所見が強い場合には、ステロイド薬や免疫抑制薬に加えて抗凝固薬や抗血小板薬など種々の薬を併用して治療を行います。症状や組織所見が軽い場合には、高血圧薬と抗血小板薬のみの内服で治療を行う場合もあります。
慢性糸球体腎炎は、無治療で放置した場合には、約20年かけて30%くらいの方が末期の腎不全に進行するといわれていますが、現在は治療薬や治療法も進歩しているので、しっかりと治療を行えば病気を治すことができます。薬の内服を忘れないことや、3度の食事などの規則正しい生活を心がけることが大切です。
尿管
何の症状もなく学校検尿で初めて異常を指摘された場合は、かかりつけ医や指定の病院を受診してください。
肉眼的血尿やむくみなどの症状がある場合には、小児の腎臓病専門医がいる病院を受診します。
池住 洋平
2002年に米国腎臓財団から発表された慢性腎臓病(Chronic kidney disease:CKD)の概念と病期分類によると、CKDとは、
腎臓障害を示す所見として、①
CKDは、ひとつの腎疾患を意味するのではありません。腎機能低下が慢性に進行する、すべての腎疾患を包む疾患概念です。ですから、それぞれの疾患により、原因もさまざまです。
病期1~2までは、無症状であることがほとんどですが、病期3以降になるとさまざまな症状が出現します。病期3では夜間尿、軽度の
CKDは、蛋白尿と
病期分類(病期1~5)は、GFRの15および30の倍数で区切られ、腎移植患者である場合はT(transplantationのT)を、病期5で透析を受けている場合はD(dialysisのD)をつけます(表7)。
CKDには、多くの原因疾患が含まれるため、原疾患に対する治療法を選択することになります(詳細は、各論を参照)。
しかし、いずれにおいても一般療法(生活習慣病・メタボリックシンドロームの是正、感染予防、運動など)、食事療法(減塩・低蛋白食、エネルギーコントロール食など)、薬物療法(レニン・アンジオテンシン系阻害薬、カルシウム拮抗薬、副腎皮質ステロイド薬、免疫抑制薬、血糖降下薬など)、手術のなかから選択されます。
特定健診などで、尿検査所見や画像診断所見、腎機能障害を示す血液検査値に異常を指摘された場合には、腎臓専門医をすぐに受診すべきです。
これらの所見異常がみられなくてもeGFRが60ml/分/1.73m2未満の時は、CVD(心血管疾患)の危険性もあることから、心・腎疾患の経過観察を受けることが大切になります。
富野 康日己
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報
2002年にアメリカの腎臓財団(NKF:National Kidney Foundation)が腎臓病予後改善対策(K/DOQI:Kidney Disease Outcomes Quality Initiative)ガイドラインとして提唱した、新しい腎臓病の疾患概念。略称CKD。糸球体濾過(ろか)量(GFR:glomerular filtration rate)によって重症度を分類するもので、これまでの方法とはまったく異なる診断基準が示されている。すなわち腎臓病の病因だけをとらえるのでなく、腎機能がどの状態(ステージ)にあるかによって診断する考え方である。こうした新しい概念が生まれた背景には、世界的に患者数が増え続けていることがある。さらに、自覚症状に乏しく気づいたときには慢性化していることの多い腎不全に対する一般の予防的意識を高めるねらいと、腎機能の低下の程度が軽度なうちに医療的な対処を始めようとする考えがある。腎臓病学の国際的組織である国際腎臓病予後改善委員会(KDIGO:Kidney Disease Improving Global Outcomes)もこの考え方を支持し、最終的に世界保健機関(WHO)の国際疾病分類ICD-10(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems, 10th edition)にも疾患名として加えられた。
透析患者数が年々増加の一途をたどり、腎臓病が新たな国民病となりつつある日本でも、2006年(平成18)に日本慢性腎臓病対策協議会が設立され、今日ではこの考え方が主流となっている。また日本腎臓学会でも2007年の「CKD診療ガイドライン」で腎機能のステージ別診療方針を提示するとともに、日常の生活習慣、食事療法、血管管理法などについても注意を促している。2012年には、指針となる重症度の分類に変更を加えた新たなガイドラインが示されて評価項目の糸球体濾過量のステージ分類も細分化され、原因(疾患)とタンパク尿(アルブミン尿)の評価項目が判定に加わった。糖尿病や高血圧と同様に、軽度な腎臓病やタンパク尿も冠動脈疾患の危険因子となりうることから、CKD患者の血圧の管理指標や降圧薬の第一選択薬についても変更が加えられている。
[編集部]
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新