血餅収縮試験(読み)けっぺいしゅうしゅくしけん(その他表記)clot retraction test

改訂新版 世界大百科事典 「血餅収縮試験」の意味・わかりやすい解説

血餅収縮試験 (けっぺいしゅうしゅくしけん)
clot retraction test

正常な血液血管の外へ出ると固まって凝血塊となるが,これは血餅(けつぺい)blood-clotと呼ばれる。血餅は時間とともに漸次収縮していき,血清が分離される。この現象が血餅収縮で,凝血塊中のフィブリン繊維に付着した血小板の偽足様突起が収縮するためにおこるとされている。したがって,血小板の数が減少している場合や,数は正常でもその機能が低下している場合(血小板無力症など),また著しい低フィブリノーゲン血症の場合,血餅収縮力が減退し,血清は分離されにくい。これを半定量的に測定する方法が血餅収縮試験である。清浄な試験管に静脈血をとり,37℃の孵卵(ふらん)器に静置して血餅収縮のおこる時間を測定する方法(血餅収縮時間測定法)や,血餅収縮後に凝血塊をとりだし,残った血清の量から収縮度を算出する方法(マクファーレン法変法),さらに,赤血球増減により血餅収縮が影響されることから,被検血液のヘマトクリット値で補正する方法(アゲラー法)などがある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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