襷文(読み)たすきもん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「襷文」の意味・わかりやすい解説

襷文
たすきもん

広義に解釈すれば格子模様の一形式。縦・横の筋(すじ)が直角に交差する一般の格子に対して、斜めに交わるものをとくに襷とよんで区別することがある。わが国では櫛歯(くしば)状の用具を使用して、土器の表面に施文した弥生(やよい)時代の素朴な襷文や銅鐸(どうたく)にみられる袈裟襷(けさだすき)文から始まり、奈良時代の染織に表された襷文へと展開していく。とくに奈良時代に流行した羅(ら)という、4本の経糸(たていと)を1組としたからみ織では、組織の線が斜めに走るため、自然と襷模様が織り出されていく。奈良時代以後はこうした織模様の系統の襷に、物差しを使って割り付けた種々の襷模様が加わって、その形式をしだいに整えていった。

村元雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android