国指定史跡ガイド 「西宮砲台」の解説
にしのみやほうだい【西宮砲台】
兵庫県西宮市西波止町にある砲台跡。別称は「築州砲台」で、東の西宮港と西の夙川(しゅくがわ)のほぼ中間の香櫨園(こうろえん)浜に建つ。1854年(安政1)、ロシアの軍艦が長崎から大阪湾に入り投錨(とうびょう)したことを受け、幕府は各地に砲台を築くことを決め、勝海舟が現地調査を行って場所を選んだ。この砲台は1863年(文久3)に着工され、1866年(慶応2)に完成したといわれ、面積は約5500m2。沿岸防備のために築造された砲台の一つで、内部の木造部分は損傷しているが旧態をよくとどめていることから、1922年(大正11)に国の史跡に指定された。砲台の径17m、高さ12mで、内部には井戸があり、2階には1ヵ所の明かり窓のほか、砲眼(ほうがん)が11ヵ所あった。1974年(昭和49)~1975年(昭和50)には内部石積みの補強工事、外部補強、復元工事が実施された。阪神電鉄阪神本線西宮駅から阪神バス「西波止町」下車、徒歩約3分。