六訂版 家庭医学大全科 「角膜ヘルペス」の解説
角膜ヘルペス
かくまくヘルペス
Herpes corneae
(眼の病気)
どんな病気か
単純ヘルペスウイルス(皮膚の
原因は何か
単純ヘルペスウイルスは、角膜ヘルペスを発症する時に外から感染するのではなく、何年も前にすでに感染しています。知らない間に感染していることが多く、たとえば70~80代の人では、ほとんどが体のどこかの神経節にこのウイルスをもっています。
眼の奥にあり、角膜の知覚を
角膜ヘルペスはウイルスが角膜の表面の上皮で増える上皮型と、角膜の実質でウイルスに対する体の免疫反応が生じて、角膜の混濁を生じる実質型に大きく分けられます(図20)。
症状の現れ方
上皮型では、充血と軽いころつき、時に痛みを訴えますが、視力の低下は軽度です。実質型では、充血とともに視界がぼやけ、視力がかなり低下します。
角膜ヘルペスは通常、片眼性で、再発を起こすのが大きな特徴です。
検査と診断
一般には、ウイルスを分離するのはごく一部の専門の施設でないと行えないため、ウイルスのもっている蛋白に反応する抗体を用いた
また、角膜ヘルペスでは角膜の知覚が低下することが特徴であるため、角膜の表面を綿花の先やナイロン糸の先で触れて、それがわかるかどうかを検査します。
治療の方法
単純ヘルペスウイルスに対する特効薬としてアシクロビル(ゾビラックス)という薬があり、これを
病気に気づいたらどうする
角膜ヘルペスは、体のなかから起こってくる病気なので、一度よくなっても三叉神経節にはウイルスが残っており、これがしばらくしてまた角膜に出てくるため、前記したように再発を起こすのが大きな特徴です。
そのため、一度よくなった場合も油断せず、体調を整えるとともに、万一再発した場合は早めに眼科を受診することが重要です。極端に悪くなるケースの多くは、再発した時々において、そのつど適切に治療が行われていなかったことが原因だからです。
井上 幸次
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報