角膜炎というのは、黒目の表面の角膜で炎症が起こった状態の総称なので、実際にはこの「角膜と
外傷、コンタクトレンズ障害、ドライアイ、細菌感染、ウイルス感染、真菌(カビ)感染、その他さまざまな原因があり、なかには原因不明のものもあります。
いろいろな病気の総称なので、症状としては視力が低下したり、痛かったり、異物感があったりと、程度や原因によってさまざまです。
角膜の病気の診断に役立つ情報の8~9割は、
スリットランプは、眼に細いスリット状の光を当ててその反射を顕微鏡で拡大してみることによって、眼球のいろいろな組織の細かい状態を調べることのできる器械です(図23の写真はスリットランプでスリットを当てて撮影されたもの)。
これと、視力検査・眼圧検査は、角膜の病気を調べるにあたって必ず行われると思ってよいでしょう。
以下の「角膜と強膜の病気」の各項目では、この3つの検査は除いて、それ以外にどのような検査が行われるかを述べます。
原因によって治療法はさまざまですが、点眼薬による治療が主になります。
当然のことながら、眼科専門医の診察を受けてください。一般に眼の病気の状態は、自分ではなかなかわかりにくく、同じような症状でも原因によって治療は異なるので、くれぐれも自己治療はしないようにしてください。
また、角膜の病気では、コンタクトレンズを使用している人は中止することが一応大原則なので、そのように心がけてください(ただし、眼科で角膜の病気に対して治療目的の保護用のコンタクトレンズを使用することはある)。
以上の諸注意は、以下の「角膜と強膜の病気」の各項目に共通するので、個々の項目ではすべて省略しています。
井上 幸次
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
角膜の炎症をいう。原因は、細菌、ウイルス、真菌などの感染や、アレルギー、さらに物理的・化学的刺激によるものなどさまざまである。症状としては、多くは疼痛(とうつう)、流涙を訴え、さらに、まぶしくなり、結膜(白目)が充血して視力低下をきたし、症状の強いときはまぶたを開くこともできなくなる。
ヘルペスウイルスによる角膜炎は、木の枝状の潰瘍(かいよう)をつくり、角膜の知覚が低下するのが特徴で、ステロイド剤の乱用や軽い外傷によって誘発されることがある。再発も多く、病変が深部まで入ってくると角膜の混濁が残り、視力が低下する。治療にはアシクロビルなどの抗ウイルス剤を使う。アデノウイルスによる流行性角結膜炎のあとにも、点状の混濁が残ることがあるが、ほとんどは視力に大きく影響することはない。しかし、混濁が消失するのに数年かかることもある。細菌性の角膜炎は宿主の抵抗力が弱くなっているときにおこりやすく、異物の混入や外傷も誘因となる。初期から抗生物質の点眼、場合によっては全身投与も行う。まれに、角膜潰瘍となり、だんだん深部へ進んで角膜が穿孔(せんこう)し、全眼球炎となって失明することもある。光による角膜炎には、いわゆる電気性眼炎がある。雪山や海など紫外線の強い場所にいたり、電気溶接を見たりしたあとにおこる。強い眼痛、羞明(しゅうめい)(まぶしさ)、流涙を訴える。角膜の上皮がはがれて小さい点状の混濁が角膜全体に生じる。いずれの場合も、まずは眼科を受診し正しい診断を受けることがたいせつである。感染予防と疼痛のコントロールが必要になる。
[中島 章・村上 晶 2024年9月17日]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…最近はあまりみられない。一般細菌による角膜炎keratitis,さらに角膜潰瘍corneal ulcersは依然として多くみられるが,抗生物質の変遷とともに原因菌も変化し,緑膿菌等グラム陰性菌によるものが増加している。ウイルス疾患としては,単純ヘルペスウイルスによる角膜潰瘍が多くみられる。…
※「角膜炎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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