言向く(読み)コトムク

デジタル大辞泉 「言向く」の意味・読み・例文・類語

こと‐む・く【言向く】

[動カ下二]背いた者を説得して自分に従わせる。平定する。
「ちはやぶる神を―・けまつろはぬ人をもやはし」〈・四四六五〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「言向く」の意味・読み・例文・類語

こと‐む・く【言向】

  1. 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙 ことばで相手をこちらに従わせる。説得する。服従させる。
    1. [初出の実例]「如此く荒ぶる神等を言向(ことむけ)平和(やは)して」(出典古事記(712)中)

言向くの補助注記

( 1 )古事記伝‐一三」では、「言」の字は借字であり「事」の意であるとするが、「古事記」において「言」が「事」の借字に使われた例はなく、また「事向」と表記された例もないところから、コト=言と解すべきであろう。
( 2 )ムクは下二段活用であるところから使役の意に解釈でき、「言葉によって向かせる」、つまり「従わせる」のが本義と考えられる。実際には挙例の「古事記」のように武力を伴った場合や威嚇して従わせた場合にも用いられる。

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