日本大百科全書(ニッポニカ) 「謝肇淛」の意味・わかりやすい解説
謝肇淛
しゃちょうせい
(1564?―?)
中国、明(みん)末の文人。随筆家。福州長楽(福建省長楽県)の人。1592年(万暦20)進士に及第し、湖州府推官、工部郎中となり、さらに雲南の地方官を経て、広西布政使に進んだ。地方官生活が長かったうえ、工部にあったときも治水のために現地に赴くことも多く、また登山を好んだので、各地の地理に明るく、『滇略(てんりゃく)』『北河紀』『方巌志』などの地理書の著もある。詩・書・画にも長じていたが、とくに有名なのは随筆の『五雑俎(ござっそ)』であり、その博聞をもととして、天・地・人・物・事の百般にわたって記録論述していて、日本でも広く読まれた。
[今西凱夫 2016年2月17日]