日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
謝肉祭(シューマンのピアノ曲集)
しゃにくさい
Carnaval, Scènes mignonnes sur quatre notes
ロベルト・シューマン作曲の、21曲の性格小品からなるピアノ曲集(1834~35。作品9)。「四つの音符上の小さな情景」というフランス語の副題は、シューマンが当時婚約していた女性の生まれた町の名Asch(アッシュ)と、シューマン自身の名前SCHumAnnにあるアルファベットASCHをそれぞれイ(A)、変ホ(Es)、ハ(C)、ロ(H)音に置き換え、これらの4音を組み合わせた3種類の動機Sphinxes(スフィンクス)を基礎に全曲が成り立っていることを意味している。各曲は仮装舞踏会のさまざまな姿と情景を描き、自由な形式と内容でシューマン独自の世界を形成している。なお、ドボルザークにも同名の管弦楽用序曲がある(作品92。1892年プラハ初演)。
[三宅幸夫]