…神宮御師はそれぞれ各地で師檀関係を結び,檀家回りをし,御祓(おはらい)と称する神札を配って信仰を勧め,いっぽう勧進聖(かんじんひじり)たちが全国的に寄付を集めて宇治橋の架橋を達成するなどのことがあり,ついにキリスト教宣教師が本国に報じたように,〈かれらは,同所(伊勢神宮をさす)に行かざる者は人間の数に加ふべからずと思へるが如し〉というほどの景況に達する。これほどまでになったのは,おそらく民衆のあいだに,〈天照大神は一切衆生の父母〉といった信仰が形成され,これに加えて伊勢の外宮(げくう)の祭神たる豊受大神が食物神から,ひいては農業神として広く民衆の帰依を集めたこともあずかっているであろう。 こうして中世末の政治上・社会上の変動を経た直後,1614年(慶長19)伊勢踊の流行が起こった。…
…イネが人間と同様に生と再生を繰り返すと見る見方は,穀霊・稲魂観念を共有する諸民族に広く分布しているといえよう。日本の豊受大神(とゆけのおおかみ)や稲荷明神などは,穀物の外にあって穀物をつかさどる神々であり,穀霊・稲魂が大神化した形態であると見られる。農耕儀礼【佐々木 宏幹】。…
※「豊受大神」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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