字通「五」の項目を見る。
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主要な5種の穀物の名。転じて穀物類の総称にも用う。中国においては,その内容は古来から次のごとく必ずしも一定せず,麻・黍・稷・麦・豆(《周礼(しゆらい)》天官疾医の注),黍・稷・麻・麦・菽(《大戴礼》曾子天円の注),稲・稷・麦・豆・麻(《楚辞》大招の王逸注),稲・黍・稷・麦・菽(《孟子》滕文公上の注),粳米・小豆・麦・大豆・黄黍(《素問》蔵気法時論の注),稲穀・大麦・小麦・菉豆・白芥子(《成就妙法蓮華経瑜伽智儀軌》),大麦・小麦・稲穀・小豆・胡麻(《建立曼荼羅護摩儀軌》),と時代と場所により多少の差のあることがわかる。なお穀名は普通清の程遥田《九穀考》に従うが,稷は粟(あわ)・黍(きび)・高粱(コーリヤン)と種々の説があり,また古代では麻の実は主要な食料であった。日本では五穀といえば,通常米・麦・粟・黍・豆をさす。
執筆者:米田 賢次郎
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…《日本書紀》神代の条の神話では,天照大神(あまてらすおおかみ)の命(めい)により月読尊(つくよみのみこと)がウケモチノカミのもとに行くと,ウケモチが口から飯,魚,獣を出して供応したので,ツクヨミはその行為を汚いと怒り,剣を抜いてウケモチを殺し,アマテラスに報告した。すると,アマテラスは激怒してツクヨミとは二度と会うまいと言い,それで日と月とは一日一夜を隔てて住むのだと説明し,さらにウケモチの死体の各部分から,牛馬(頭),粟(額),蚕(眉),稗(ひえ)(目),稲(腹),麦・大豆(陰部)ができたという五穀の起源説話を載せる。これらの産物名と場所名とは朝鮮語で解けると言われる。…
…ゲはケ(食物)の意。《古事記》神話の〈五穀の起源〉の条で,八百万(やおよろず)の神が食物をオオゲツヒメに請うたので,鼻,口,尻から種々美味の物を出して進上したのを,スサノオノミコトが見て汚いとして殺すが,その死体の各部分から蚕(頭),稲種(目),粟(耳),小豆(あずき)(鼻),麦(陰部),大豆(尻)ができたとある。食物神の死は秋の刈入れの表象である。…
…五穀または十穀を食べずに修行すること。その修行者を古くは穀断聖(ひじり)といったが,中世・近世には十穀聖とか木食(もくじき)行者とよぶようになった。…
…また,それ以外の穀物には,タデ科のソバ,アカザ科のキノア,ヒユ科のセンニンコクなどがある。古くから〈五穀豊穣〉などと呼びならわされている〈五穀〉は,イネ,ムギ,アワ,マメにヒエまたはキビを加えていう場合が多い。
[用途]
穀物は食用,加工用,飼料用などに供される。…
…中国では三皇,五穀,九族などと,事物に特定の数を添えて称える慣習があり,これを名数と称した。古くは事数ともいった。…
※「五穀」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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