貧者の一燈(読み)ひんじゃのいっとう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「貧者の一燈」の意味・わかりやすい解説

貧者の一燈
ひんじゃのいっとう

真心のこもった貧者による供養(くよう)の一燈は、富者の万燈にも勝る功徳(くどく)があることのたとえ。『賢愚(けんぐ)経』のほか阿闍世王授決(あじゃせおうじゅけっ)経』によれば、かつて仏(釈尊(しゃくそん))が説法をしていたとき、王の献じた万燈は油が尽きたり風で消えてしまったが、貧しい老女の一燈だけは消えることなく燃え続けたという。「貧女(ひんにょ)の一燈」ともいわれ、聖書のwidow's miteはこれに相当し、いずれも至誠の尊さを教えている。

[片山一良]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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