超伝導コイル式電力貯蔵(読み)ちょうでんどうコイルしきでんりょくちょぞう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「超伝導コイル式電力貯蔵」の意味・わかりやすい解説

超伝導コイル式電力貯蔵
ちょうでんどうコイルしきでんりょくちょぞう

絶対温度 0Kに近い極低温で,電気抵抗がゼロとなる超伝導物質 (ニオブ-チタンなどの合金) をコイル状に巻き,超伝導状態に保ち,電流を流して電力を蓄える方式。コイルに流す電流は直流なので,交流の電力系統とコイルとの間には交直変換器が必要である。電力系統の制御目的とした直径が 1m程度の小型コイルから,100万 kW級の発電所からの電力を,数時間分程度蓄えることのできる直径 100m以上の大型コイルまで考えられている。小規模のものは技術的に可能となっているが,大規模なものには,電流を流すことにより生じる力をいかに支えるかなどの技術的問題がある。

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知恵蔵 「超伝導コイル式電力貯蔵」の解説

超伝導コイル式電力貯蔵

超伝導コイルを貯蔵媒体とする電力貯蔵方式。電流を一度流すと流れ続ける、超伝導線材の性質を利用する。実際には、コイル状に超伝導材料を置き、これに大電流を流してコイル端子を短絡すると、コイルの自己インダクタンスと電流の2乗とに比例する磁場エネルギーとして、コイル中に貯蔵できる。実用規模では、直径数百mのコイルに発生する巨大な電磁力を支える構造物が必要となる。

(槌屋治紀 システム技術研究所所長 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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