転形問題(読み)てんけいもんだい(英語表記)transformation problem

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

商品の価値を生産価格に整合的に転形 (転化) できるかどうかをめぐるマルクス価値論上の最大の論争点の一つ。マルクスの想定によれば,商品価値W=c+vm (cは不変資本価値,vは可変資本価値,mは剰余価値) は,資本主義的競争のもとでは生産価格P= (1+r) (c+v) (rは一般的利潤率) に転化するが,この転化の前後では社会的集計量は同一であり (ΣWi=ΣPi) ,利潤は総剰余価値を社会的に分配したものにすぎない ( ) という「総計一致の二命題」が成立する。この想定は,『資本論』第3巻公刊直後のベーム=バウェルクによる批判,R.ヒルファーディングによる反批判という形で論争をみた。 L.ボルトキエービッチは彼らの批判的検討を通じて新たな解法を示し,P.M.スウィージーが 1942年に彼の解法を紹介すると,英米を中心に転形論争が活発に展開された。この論争の根底には,価値論の問題とともに,マルクスの剰余価値率から整合的に利潤率を導出できるかという問題があるが,今日までその整合性の追究が続けられている。

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世界大百科事典内の転形問題の言及

【転化問題】より

…マルクスが価値と生産価格の関係を〈価値の生産価格への転化〉として論じて以来,マルクス的価値(体化労働)を基礎にして生産価格(均等利潤率を成立せしめる価格)を導出する議論が転化問題,あるいは転形問題とよばれるが,この問題の歴史は長い。マルクスの転化論はつぎの三つの総計一致命題からなる。…

※「転形問題」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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