スウィージー(読み)すうぃーじー(英語表記)Paul Marlor Sweezy

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スウィージー」の意味・わかりやすい解説

スウィージー
すうぃーじー
Paul Marlor Sweezy
(1910―2004)

アメリカの代表的マルクス経済学者で、1949年以来『マンスリー・レビュー』Monthly Review誌を主宰ニューヨーク市生まれ。1931年ハーバード大学を卒業し、ロンドン・スクール・オブ・エコノミックスに留学、34年から46年までハーバード大学のスタッフ。58年からコーネルスタンフォード、エール各大学の客員教授、75年からニューヨークのニュー・スクール・フォア・ソシアル・リサーチの教授を務めた。

 1939年の論文「寡占状況下の需要」で寡占企業についての「屈折需要曲線」という説明原理を提出し、近代経済学の理論家としての評価を確立したが、やがてその立場をマルクス経済学に移した。42年『資本主義発展の理論』でマルクス経済学者としての地位を不動のものとし、66年の『独占資本』(バランとの共著)は、独占資本の構造分析と独占資本主義の動態分析に新生面を開いた。また『現代資本主義』(1972)、『アメリカ資本主義の動態』(マグドフHarry Magdoffとの共著、1972)、『アメリカの繁栄終焉(しゅうえん)』(1977)などで、アメリカ経済と世界経済の分析を展開している。他方、社会主義諸国の分析と第三世界論にも大きな足跡を残しており、この面では『革命後の社会』(1980)が包括的である。なお、49年以来主宰する『マンスリー・レビュー』誌は、「独立した社会主義者雑誌」として、世界中の進歩派に一貫して大きな影響を及ぼしてきた。

岸本重陳

『都留重人訳『資本主義発展の理論』(1967・新評論)』『小原敬士訳『独占資本』(1967・岩波書店)』『岸本重陳訳『アメリカ資本主義の動態』(1978・岩波書店)』『伊藤誠訳『革命後の社会』(1980・TBSブリタニカ)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スウィージー」の意味・わかりやすい解説

スウィージー
Sweezy, Paul Marlor

[生]1910.4.10. ニューヨーク
[没]2004.2.27. ニューヨーク,ラーチモント
アメリカのマルクス主義経済学者,評論家。 1931年ハーバード大学卒業後,ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスに留学し,近代経済学の研究とその内在的批判,イギリス石炭産業を中心とする独占の研究などを通じてマルクス主義に傾倒した。帰国後 1934~42年ハーバード大学経済学部に勤務。第2次世界大戦後はその思想的立場のため教職を辞し,1949年レオ・ヒューバーマンと"Monthly Review"誌を創刊,広範な分野でマルクス主義の立場から評論活動を展開した。主著『資本主義発展の理論』 The Theory of Capitalist Development (1942) や『社会主義』 Socialism (1949) ,『歴史としての現代』 The Present as History (1953) ,『現代資本主義』 Modern Capitalism (1972) など著作の大半が邦訳されている。

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