転化(読み)テンカ

デジタル大辞泉 「転化」の意味・読み・例文・類語

てん‐か〔‐クワ〕【転化】

[名](スル)
ある状態・物が別の状態・物に変化すること。「戦況転化する」
蔗糖しょとう加水分解され、果糖ぶどう糖になる現象分解が進むにしたがい、旋光性右旋性から左旋性に変化する。
[類語](1変わる変化変動変転変移変遷推移転変変性変質変換変ずる化する改まる移る移ろう動く変える化ける一変する一転する様変わりする豹変ひょうへんする急変する激変する移行する流転する

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精選版 日本国語大辞典 「転化」の意味・読み・例文・類語

てん‐か‥クヮ【転化】

  1. 〘 名詞 〙
  2. うつりかわること。ある状態が別の状態に移行すること。変化。
    1. [初出の実例]「因敵転化(テンクヮス)〔三略〕」(出典:文明本節用集(室町中))
    2. 「量の質への転化というような事が」(出典:春の城(1952)〈阿川弘之〉二)
    3. [その他の文献]〔淮南子‐原道訓〕
  3. 物質の変換のこと。狭義には一酸化炭素から水素をつくること、または蔗糖加水分解をさす。
  4. 哲学で、存在に対して変化の過程。静止状態に対してある状態から他の状態へ移行する過程。消滅に対して生成生起の過程。〔哲学字彙(1881)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「転化」の意味・わかりやすい解説

転化
てんか
inversion

ショ糖サッカロース)を加水分解することをいう。ショ糖を加水分解すると、最初に右旋性であった液が加水分解が進むにしたがってしだいに左旋性に変わるので転化という術語が与えられた。転化がおこる理由は、比旋光度+66.5°のショ糖が加水分解されると、比旋光度-92.3°のD-フルクトースと+52.7°のD-グルコースが等モル量できる。D-フルクトースの左旋性がD-グルコースの右旋性に比較して大きいため、加水分解が進むにしたがい全体として左旋性に転じ、最終的には比旋光度-20°になるからである。転化によりできたD-フルクトースとD-グルコースの混合物転化糖といい、ショ糖より消化吸収されやすく味もすこし異なるので、菓子類、食品などに用いられる。

[廣田 穰]

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百科事典マイペディア 「転化」の意味・わかりやすい解説

転化【てんか】

ショ糖を加水分解するとブドウ糖と果糖の等量混合物が得られるが,この際旋光性が右旋性から左旋性に変わる(図)。このような旋光性の変化を転化といい,生成物であるブドウ糖と果糖の等量混合物を転化糖という。
→関連項目加水分解ショ(蔗)糖

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栄養・生化学辞典 「転化」の解説

転化

 ある処理や自然の状態で化合物が変化した結果,旋光性が逆転すること.特に,ショ糖を加水分解して旋光性が逆転することについていう.

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普及版 字通 「転化」の読み・字形・画数・意味

【転化】てんか

かわる。

字通「転」の項目を見る

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