改訂新版 世界大百科事典 「輝ソウ鉛鉱」の意味・わかりやすい解説
輝ソウ(蒼)鉛鉱 (きそうえんこう)
bismuthinite
化学組成はBi2S3の鉱物で,斜方晶系に属し,まれにc軸方向に伸長した柱状・針状結晶をなすことがあるが,多くは葉片状,繊維状,塊状集合体。{010}にへき開が完全である。モース硬度2,比重6.8。新鮮な面はスズ白色金属光沢を示すが,退色して黄みを帯びていることが多い。輝安鉱Sb2S3とは同構造で,両者の間には,連続固溶体が形成される。やや高温の気成~熱水性スズ鉱脈,銀コバルト鉱脈,黄銅鉱脈に伴われて産出することが多い。栃木県足尾鉱山,兵庫県生野鉱山はその例である。その他,低温熱水性鉱脈(北海道手稲鉱山),接触交代鉱床(山口県長登鉱山),火山噴気孔(昭和新山)に産出する例もあり,産状は変化に富んでいる。輝ソウ鉛鉱はビスマス(ソウ鉛)の最も重要な鉱石である。
執筆者:青木 正博
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