日本大百科全書(ニッポニカ) 「輪腐病」の意味・わかりやすい解説
輪腐病
わぐされびょう
ジャガイモの重要な病気。病原は細菌の一種クラビバクター・ミシガネンシス・セペドニカスClavibacter michiganensissubsp. sepedonicusで、植物病原細菌では数少ないグラム陽性菌である。第二次世界大戦後アメリカ駐留軍用のジャガイモとともに輸入され、1950~54年(昭和25~29)にかけて全国各地で大発生し大きな被害を与えた。病気にかかったいも(塊茎)は維管束の部分が侵されるため、切断するとこの部分が輪状に変色している。このようないもは植えても芽を出さずに腐るか、芽を出しても幼植物のうちに黄化して枯死する。種いもを切断するとき病いもからナイフに病原菌がつき、次々に健全ないもに伝染する。国営の種いも農場(原々種農場)で厳密な検査を行っているので、最近では発生は少なくなった。
[梶原敏宏]