輸出加工区(読み)ゆしゅつかこうく(英語表記)Export Processing Zone

知恵蔵 「輸出加工区」の解説

輸出加工区

主に発展途上国に設置され、多国籍企業の誘致の下で輸出向けの生産が行われる工業団地輸出指向工業化政策の中核部分を形成するが、内部経済との関連が希薄な「飛び地」となっている。対外取引に便利な国際港の隣接地などに工業団地が造成され、関税や法人税の減免、外資比率の規制緩和利潤配当の本国送金の自由化などの優遇措置が採られる。EPZ別名で自由貿易区(FTZ:Free Trade Zone)や保税加工区(BPZ:Bonded Processing Zone)と呼ばれるのは、このためである。1959年にアイルランドのシャノン空港でEPZの第1号が開設され、その後、アジア諸国を中心に多くの発展途上国に普及した。

(室井義雄 専修大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「輸出加工区」の意味・わかりやすい解説

輸出加工区
ゆしゅつかこうく
export processing zone

国内の一定区域を関税制度の枠外におき,そこに外国資本を誘致して保税加工業を興し雇用の拡大と外貨収入の増大をはかろうという目的で設置される一種保税地域。輸出加工区に輸入された原材料は,加工して輸出されれば関税は免除され,また進出した外国企業には,通常は租税の減免,投資活動の保障,投資業務窓口の一元化,輸出手続の簡素化その他の優遇措置が与えられる。台湾高雄,韓国の馬山,パナマなどはその例である。

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世界大百科事典(旧版)内の輸出加工区の言及

【経済特区】より

…このため,外資が入りやすいように国内法を適用せず外資を優遇する特別法で運営する地域である。 経済特区は1965年台湾が高雄に設立した輸出加工区(tax free zone)と類似のものである。台湾の高度成長はこの高雄輸出加区に負うところがはなはだ大きい。…

【NIEs】より

…NICs(NIEs)の定義に関しては,OECDの報告書の規準が目安であり,工業製品輸出の急増を通じて経済成長を達成し産業構造と所得水準を急速に先進工業国に接近させる国・地域とするのが一般的である。
[輸出加工区の存在]
 NIEsの初期の成長で注目されるのは,労働集約的工業製品の急速な輸出による急成長の実現であり,それには輸出加工区export processing zonesが少なからぬ役割を果たした。輸出加工区は,原則として製品の全量を輸出する条件で原材料の輸入関税の免税,法人税の一定期間の減免,利潤の本国送金などを認めている。…

※「輸出加工区」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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