高雄(読み)タカオ

デジタル大辞泉 「高雄」の意味・読み・例文・類語

たかお【高雄】[台湾の市]

台湾南西部の港湾・工業都市。台湾第2の都市で、重工業が盛ん。2010年に高雄県と合併して直轄市となった。人口277万(2009)。カオシュン。カオション。
[補説]17世紀以来「打狗ターカオ」と書いたが、台湾総督府が字を嫌い、似た音の訓読「高雄」に改名。1945年の日本統治終了後も字を戻さず、読みを北京語の「カオシュン」に改めた。

たかお【高雄/高尾】[京都の地名]

京都市右京区の地名。清滝川に沿う景勝地で、北に接する栂尾とがのお槙尾まきのおとともに三尾さんびとよばれる紅葉の名所。高雄山中腹には神護寺がある。

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精選版 日本国語大辞典 「高雄」の意味・読み・例文・類語

たかおたかを【高雄・高尾】

  1. [ 一 ] 京都市右京区梅ケ畑の地名。愛宕(あたご)山の東方、清滝川の中流右岸に臨む。高雄山があり、清滝川の渓谷美で知られ、古来紅葉の名所。神護寺がある。栂尾(とがのお)・槇尾(まきのお)とともに三尾(さんび)という。
  2. [ 二 ] 京都市右京区にある高雄山のこと。
  3. [ 三 ] 京都市右京区、高雄山の山腹にある高雄山神護寺のこと。
  4. [ 四 ] ( 高尾 ) 東京都八王子市の地名。高尾山の東麓にある。多摩御陵などがある。
  5. [ 五 ] ( 高雄 ) 台湾南西岸の港湾都市。天然の良港で、古くから遠洋漁業の基地として栄え、貿易・工業もさかん。カオシュン。

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日本歴史地名大系 「高雄」の解説

高雄
たかお

[現在地名]右京区梅ヶ畑

高尾とも記す。三尾さんびの一つで、その最も南、高雄山の東南麓、清滝きよたき川に沿った一帯をいう。高雄山神護じんご寺があり、紅葉の名所として知られる。

高雄山(標高四二八・六メートル)は歌枕で、「五代集歌枕」「八雲御抄」にあげられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「高雄」の意味・わかりやすい解説

高雄(中国)
たかお / カオシュン

台湾南部の港湾・工業都市。台北に次ぐ台湾第二の都市で、中央政府直轄市。台南の南40キロメートルに位置する。人口149万0560(2000)。港は細長い潟湖(せきこ)の入口にあり、水深6~11メートル、大型船舶の接岸が可能で、台湾最大の輸出港および遠洋漁業基地となっている。市西部の海岸沿いにそびえ立つ万寿山(356メートル)は天然の屏風(びょうぶ)で、北方に隆起サンゴ礁からなる亀(き)山と半屏(はんぺい)山(240メートル)がある。旧称打狗(ターカオ)または打鼓(タークー)。台南と並びもっとも早くから開発された地域で、17世紀のオランダ領時代にはジャワ・バタビア貿易の根拠地とされ、その後大陸各地との貿易で繁栄し、1860年国際貿易港として開港されたあといっそう発展した。日本統治時代の1920年に高雄と改称し、24年市制を敷いた。第二次世界大戦中、日本は総督府の南遷をもくろんでここに近代都市の建設を計画し、石油、アルミ精錬、機械など数多くの軍需工業を建設した。戦後は1960年代以降、工業化がいっそう進み、石油化学、鉄鋼、造船セメント、機械、化学、電気器具、アルミ精錬、電力などの重化学工業が振興した。65年、港湾に隣接した埋立地に高雄輸出加工区が建設され、外資導入による紡績、縫製、電子機器、金属などの輸出加工業が急速に発展し、台湾南部最大の工業地帯に成長した。工業化と都市化に伴い、道路整備と都市建設も進み、高層ビルが林立する近代的な国際都市に変貌(へんぼう)している。一方、大気汚染がひどく、スモッグで空が早朝からかすみ、深刻な都市公害を抱えている。南部交通の要衝で、台湾縦貫鉄道の終点、南に延びる屏東(へいとう)線、枋寮(ほうりょう)線の起点であり、南北高速道路が通過し、高雄空港に国際線が開通している。高雄港両側の前鎮(ぜんちん)と旗津(きしん)の間に長さ1550メートルの海底トンネルが通じる。市内には万寿山公園、三鳳宮(さんほうきゅう)があり、近郊では金獅(きんし)湖、蓮花潭(れんかたん)の春秋閣、澄清(ちょうせい)湖などの観光地が有名。

[劉 進 慶]


高雄(京都市)
たかお

京都市西部、右京区の愛宕山(あたごやま)東麓(とうろく)の地。清滝(きよたき)川の渓谷に沿う景勝地。高尾とも書き、北に接する栂尾(とがのお)、槇尾(まきのお)とともに三尾(さんび)とよばれ、古来紅葉(もみじ)の名所として知られる。国道162号(周山街道)が通じているが、1965年(昭和40)嵐山(あらしやま)・高雄パークウェイが開通して交通も便利になった。高雄山中腹には神護寺(じんごじ)がある。和気清麻呂(わけのきよまろ)建立の寺を奏請してこの地に移したと伝えられる。

[織田武雄]

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改訂新版 世界大百科事典 「高雄」の意味・わかりやすい解説

高雄 (たかお)

台湾南西部の市。人口151万(2002)。台北につぐ台湾第二の都市であり,最大の貿易港。オランダはタンコイアと称し,漢人は打狗港などと称したが,これはマカタオ部族のタアカオ社があったことに由来する。1858年(咸豊8)の天津条約の結果,開港し物資の集積地として栄えた。日本が台湾を植民地とした時代,1920年に高雄と改称され,〈たかお〉と呼ばれた。第2次世界大戦の最中は,日本の南方侵略のための軍港としての役割をになわされた。現在は,工業都市であり,台北との間は南北縦貫鉄道,南北高速道路で結ばれ,また南郊に国際空港がある。なお現地読みは〈カオシュンGāo xióng〉。
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百科事典マイペディア 「高雄」の意味・わかりやすい解説

高雄(台湾)【たかお】

台湾南西部の県名,市名。日本語読みでは〈たかお〉。高雄市は北部の基隆(キールン)と並称される良港湾都市で,高雄港は,香港港,上海港などに次ぐ規模を誇る。台湾第2の都市である。もとは打狗という小村。オランダはタンコイアと称した。17世紀にオランダ人が城砦を築いたが,その後鄭成功によって駆逐された。1880年代に開港,日本統治下で,日本海軍の南方展開の補給基地として港湾が整備され,台湾総督府が,打狗(ターカウ)と日本語音が近い高雄と改称した。現在は,セメント,鉄鋼,船舶などの工業も盛ん。最近は保税工業地区(輸出加工区)などが建設され,加工貿易も盛んである。高雄国際空港がある。台北と結ぶ高速鉄道が2007年1月開業。人口277万9877人(2013)。

高雄(京都)【たかお】

京都市右京区北部,清滝川中流地区。高尾とも。渓谷美と紅葉の名所で,神護寺がある。周山街道,嵐山高雄パークウェーが通じる。
→関連項目清滝

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「高雄」の意味・わかりやすい解説

高雄
たかお

高尾とも書く。京都市右京区梅ヶ畑の一地区。大堰川の支流清滝川の沿岸,京都市街地から北西へ通じる周山街道 (国道 162号線) に沿う。和気清麻呂が開いた神護寺 (国宝の薬師如来立像ほかを所蔵) がある。峡谷美にすぐれ,紅葉の名所として知られる。嵐山の北方の鳥居本との間に,1965年嵐山高雄パークウェー (10.7km) が開通。付近の槇尾 (まきのお) ,栂尾 (とがのお) とともに三尾 (さんび) と呼ばれることがある。

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世界大百科事典(旧版)内の高雄の言及

【那須高原】より

…中部,南東部では第2次大戦前には軍馬の放牧や畑作が行われたが,戦後,集団開拓地が各所に立地し酪農や稲作を主体とする農業が行われる。北西部には,那須湯本温泉をはじめ,大丸温泉(単純泉,40~76℃),弁天温泉(単純泉,30~50℃),北温泉(単純泉,50~57℃),旭温泉(単純泉,70℃),八幡(やはた)温泉(単純泉,62℃),高雄温泉(硫黄泉,39℃),新那須温泉(単純泉,40~70℃)などの那須温泉郷の大部分がある。付近にはスキー場,ゴルフ場,那須国民休暇村,那須御用邸などがあり,別荘地の開発もすすんでいる。…

【高雄】より

…1858年(咸豊8)の天津条約の結果,開港し物資の集積地として栄えた。日本が台湾を植民地とした時代,1920年に高雄と改称され,〈たかお〉と呼ばれた。第2次世界大戦の最中は,日本の南方侵略のための軍港としての役割をになわされた。…

【経済特区】より

…このため,外資が入りやすいように国内法を適用せず外資を優遇する特別法で運営する地域である。 経済特区は1965年台湾が高雄に設立した輸出加工区(tax free zone)と類似のものである。台湾の高度成長はこの高雄輸出加区に負うところがはなはだ大きい。…

※「高雄」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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