日本大百科全書(ニッポニカ) 「辛子蓮根」の意味・わかりやすい解説
辛子蓮根
からしれんこん
熊本県の郷土料理。熊本城は加藤清正が7年の歳月をかけて築いた名城で、周囲9キロメートルの外堀を利用してハスを栽培した。いまでも蓮根堀の名称が残っている。辛子蓮根は、1630年代に、熊本藩主細川忠利(ただとし)が僧玄宅と相談して初めてつくったものといわれている。なるべく太めの蓮根を選び、皮をむき両節を切って、かりかりする程度にゆでる。辛子みそにから炒(い)りした卯(う)の花少々を混ぜ、蓮根の穴に詰めて1日ぐらい放置しておく。小麦粉にその分量の2~3割の豆粉と食用きな粉少々を加え、水少々を注いで濃いめの衣(ころも)をつくる。これをたっぷり蓮根につけて揚げる。家庭でもつくるが市販品もあり、酒の肴(さかな)にもなるし、飯の菜にもよい。
[多田鉄之助]