改訂新版 世界大百科事典 「近江井関家」の意味・わかりやすい解説 近江井関家 (おうみいせきけ) 近世世襲能面作家の家系。三光坊の弟子上総介親信が開いた一派で,はじめ江州坂田北郡(現,滋賀県長浜市)に住し,井関を名のった。高知土佐神社の尉面は享禄1年(1528)の親信の作銘がある。2代次郎左衛門,3代備中掾あたりの作品には,面裏に〈イセキ〉の刻銘があるので,この派は〈片仮名井関〉とも称された。4代河内家重(1645没)は江戸に出て活躍し,将軍家をはじめ諸大名に重用され,天下一を称した名工で,〈河内彩色〉といわれるほど彩色に独特のものがあった。この家系は彼で絶えたが,弟子の大宮大和真盛も優れた面工といわれている。執筆者:田辺 三郎助 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報 Sponserd by