日本大百科全書(ニッポニカ) 「造船材料」の意味・わかりやすい解説
造船材料
ぞうせんざいりょう
船をつくる材料。船体の材料としては木材、鋼材、軽合金、強化プラスチック、セメントなどがある。古くから使われてきた木材は、ケヤキ、カシ、クスなどの硬材と、マツ、スギ、ヒノキなどの軟材に大別される。強度を必要とする部分には硬材を、強度をあまり必要としない部分には軟材を使用する。しかし、近年造船に適する木材が少なくなったので、木船は姿を消しつつある。造船用鋼材は炭素の含有量0.3%以下の軟鋼が主体で、一部に高張力鋼や低温用鋼が使われることがある。鋼材は強度や化学成分についての細かな規格に合致したものだけが使用される。強化プラスチック(FRP、fiber reinforced plastic)はガラス繊維をポリエステルなどの合成樹脂で固めたものである。軽くて強度が高く、耐食性もあって工作も比較的容易なため、レジャーボートなど高速の舟艇や小型漁船は、木材にかわってFRPで建造されるようになった。
船体以外にも、主機関や発電機などの機器類をはじめとして、艤装(ぎそう)関係に数百種の材料が使用される。
[森田知治]