かし(読み)カシ

デジタル大辞泉の解説

かし[終助・副助]

[終助]呼びかけや命令の文末に付いて、強く念を押したり、同意を求めたりする意を表す。…ことだ。…よ。
「国王の仰せ言を背(そむ)かば、はや殺し給ひてよ―」〈竹取
[副助]副詞「なほ」「よも」「さぞ」などに付いて意味を強める。
「おとと様がよもや―お殺しなされてよいものか」〈浄・祇園曙〉
[補説]から派生した近世の用法。現代語「さぞかし」に残る。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

大辞林 第三版の解説

かし

( 終助 )
〔係助詞「か」の終助詞的用法に強調指示の副助詞「し」が付いてできたもの〕
文末にあって、念を押し、意味を強める意を表す。 「まことのうつは物となるべきを取出ださむにはかたかるべし-/源氏 帚木」 「われはこのごろわろきぞ-/更級」 「そらに申し侍らば、本草に御覧じあはせられ侍れ-/徒然 136
「さ」「いざ」などの語に付いて、応答のことばとして用いる。 「いざ-、ねぶたきに/源氏 若紫
( 副助 )
から転じて文中に用いられるようになったもの〕 副詞に付いて、意味を強める。 「主の娘を勾引かどわして、淫奔いたずらかわく学問は、なほ-聞きも習はぬと/浄瑠璃・袂の白絞」 〔
は、中古にはかなり自由に用いられたが、中世以降は、主として「活用語の命令形+かし」「ぞ+かし」などの形で用いられるようになる。
は近世に現れた用法。現代語では、副詞「さぞかし」の「かし」に
の残存形が見られる〕

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

精選版 日本国語大辞典の解説

かし【戕

〘名〙 船をつなぐために水中に立てる杭(くい)、または、棹(さお)。船に用意しておき、停泊地で水中に突き立てて用いる。かせ。
※出雲風土記(733)意宇「此(か)くて堅め立てし加志(カシ)は」

か‐し

※類従本治暦四年庚申禖子内親王歌合(1068)「こよひろほ殿のはざまにて、かしを守らせ給はむとて」

かし

〘副〙 堅い物が勢いよくぶつかる音を表わす語。また、そのさまをいう。かしかし。
※曾我物語(南北朝頃)一「矢じりは岩にかしと当る」

かし

〘間投助〙
[一] 文末用法。終止した文に付き、聞き手あるいは自らに対して念を押し、強調する。中古に現われた助詞で、会話に多く用いられる。
※竹取(9C末‐10C初)「翁のあらむ限りは、かうてもいますかりなむかし」
※伊勢物語(10C前)七一「恋しくは来てもみよかしちはやぶる神のいさむる道ならなくに」
※源氏(1001‐14頃)若紫「いざかし、ねぶたきに」
[二] 文中用法。副詞を受けて意味を強める。近世に現われた用法であるが、それらのうち、「さぞ」を受けるものだけが全体で副詞となり現代に生きている。
※浄瑠璃・袂の白しぼり(1710頃)下「主の娘を勾引(かどは)して、淫奔(いたづら)かはく学問は、尚かし聞きも習はぬと」
[語誌](1)平安時代初期の訓点資料には稀に見られる。「西大寺本金光明最勝王経‐六」に「観よ可(か)し」「すべし可(か)し」などとある。
(2)(一)については、(イ)係助詞「か」の終助詞的用法に、強調指示の「し」が付いてできたものと思われる。(ロ)右の「かし」は、終助詞とするのが通説であるが、これを取り除いてもその文はじゅうぶんに成立することと、近世以後とはいえ(二)のような文中用法が現われることとにより、間投助詞とする。(ハ)中世以後は、命令表現を受けるものが圧倒的となる。
(3)(二)の用法については、副助詞とする説もあるが、そうすると、副詞に下接するので、副詞機能の重複ということになる。(一)の用法とのかかわりからも間投助詞とすべきであろう。

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