日本大百科全書(ニッポニカ) 「那古・船形」の意味・わかりやすい解説
那古・船形
なごふなかた
千葉県南部、館山市(たてやまし)の一地区。旧那古町、旧船形町。那古は僧行基(ぎょうき)が開いたと伝えられる那古寺の門前町で、県文化財の銅造千手観音(せんじゅかんのん)立像が安置され、坂東(ばんどう)三十三所結願所(けちがんしょ)でもある。船形はカツオ漁業の基地として知られ、餌(えさ)用のイワシの生産が多い。背後の山腹に崖(がけ)ノ観音ともよばれる大福寺があり、朱塗りの舞台造の堂内に磨崖仏(まがいぶつ)の十一面観音立像がある。また、明治中期以後発達した房州団扇(ぼうしゅううちわ)の産地で、京都、丸亀(まるがめ)とともに団扇の三大産地をなし、今日にその伝統が継承されている。房州団扇は国の伝統的工芸品に指定。
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