都市参事会(その他表記)City Council[英],Rat[ドイツ]

山川 世界史小辞典 改訂新版 「都市参事会」の解説

都市参事会(としさんじかい)
City Council[英],Rat[ドイツ]

ドイツをはじめとする北西ヨーロッパの都市で12~13世紀にかけて,先行するさまざまな都市の組織から形成された合議機関。北イタリアで進展した都市制度を模範として,北西ヨーロッパの諸都市で成立した。都市参事会は,上層市民を中心に同等の権利を持つ無報酬の参事会員(通常12名前後)から構成され,多数決による議決を行った。参事会の権限は,都市の規模や都市の自治の度合いによって異なっていたが,原則として都市のあらゆる問題について権限を有していた。すなわち市民集会の招集,新市民の登録,同職組合の監督と規約の付与,都市環境の整備,秩序維持,徴税,財政管理などである。都市参事会はまた都市を対外的に代表し,都市印章を所持した。特にドイツの多くの都市では,都市参事会は数多くの権限を集中させ,中世後期から近世にかけて公権力(オーブリヒカイト)となった。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の都市参事会の言及

【市参事会】より

…中世都市を市民の共同体としてとらえようと試みたドイツの学界で,最も普及した学術用語である。都市参事会とも訳される。ヨーロッパとくにドイツの中世都市(都市)では,概して9~11世紀の都市領主支配の時代に続いて市民団体の自治に基づく都市共同体の時代(主として12~13世紀以後)が来るとされ,その共同体の成立をもって中世都市の本格的成立とする説明が有力であった。…

【デクリオネス】より

…単数形ではデクリオdecurioである。通常,都市参事会は100人によって構成され,5年ごとの戸口調査の際に財産(10万セステルティ以上),年齢(25歳以上),身分(都市政務官経歴者),声望に応じて選出されて改編された。地方都市の自治行政が広く認められた時代にはデクリオネスは名誉ある身分であった。…

※「都市参事会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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