ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「権限」の意味・わかりやすい解説
権限
けんげん
(1) 法律上用いられる場合には,(a) 公法上は,国や地方公共団体の機関が法律上行いうる行為の範囲 (事項,地域によって限定される) をいい,(b) 私法上は,代理人や法人の機関が,法令,契約に基づいて行いうる行為の範囲をいう。企業における経営管理の点からいえば,職務分担に伴う職責遂行上の権利のこと。企業,部門の目的を効果的に達成するために,命令者の指示するとおりに作業するように従業員に求める命令権などをさす。
(2) 権限の委任 行政庁が法律上定められた自己の権限の一部を他の行政機関に委譲すること。事務の委任ともいう。権限の委任は,法が明示的に認める場合に,その権限の一部に限って行うことができる。また受任機関は,委任された権限を自己の権限として自己の名と責任において行使する。これらの点で,権限の代理や専決・代決と区別される。
(3) 権限の代理 行政庁の権限の全部または一部を他の行政機関が本来の行政庁を代理して行使すること。権限の委任と異なり,対外的には権限の移動は生じず,代理機関は代理者であることを示して権限を行使し,被代理行政庁の行為としての法的効果を生じる。被代理行政庁の授権により代理関係が生じる授権代理と,法定事実の発生により法上当然に代理関係が生じる法定代理とがある。代理権限の範囲は,授権代理の場合には被代理行政庁の権限の一部に限られるのに対し,法定代理の場合にはそのすべてにわたることを原則とする。
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