改訂新版 世界大百科事典 「配石墓」の意味・わかりやすい解説
配石墓 (はいせきぼ)
1人で運べる程度の自然石,ないし一部を加工した石などを遺骸の周囲や墓壙の上に配する墓。また,このような墓の集合体も配石墓と称することがあり,列石や敷石を含めて配石遺構と総称する。日本では,西日本の弥生時代にみられる墓壙内の四隅に石を配する配石墓例を除き,縄文時代に特徴的な墓制である。代表的な配石墓は,墓壙の上部に1~2mの円形ないし方形に石を密集して配し,ときには中心や四隅に立石を置く。ただし,配石下の墓壙がないものや,浅くまたは小さいために特殊な埋葬法を想定せざるをえないものも多くある。配石墓は密集して構築され,土壙墓と同様に集落中央の広場に環状に配されることが多い。これをストーン・サークルとも呼ぶが,ヨーロッパと同じものではない。環状配石墓には,敷石住居や方形掘立柱建物など特殊な遺構を伴うことがあり,祭場としての機能も有していた。その出現は縄文時代前期後葉にさかのぼり,後期,晩期が配石墓の最盛期である。
執筆者:泉 拓良
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報