金の船(読み)きんのふね

日本大百科全書(ニッポニカ) 「金の船」の意味・わかりやすい解説

金の船
きんのふね

児童雑誌。『赤い鳥』に続いて創刊され、大正期児童文学の興隆に寄与した。1919年(大正8)11月斎藤佐次郎の編集で、キンノツノ社から創刊。22年6月号から『金の星』と改題、発行所名を金の船社とした。翌23年1月号から発行所名も金の星社と改名。創刊の辞に、新運動雑誌の芸術性追求を認めるが、それらに欠けている教訓性や「子どもらしさ」を重視したいと記し、『赤い鳥』と異なった新機軸を出そうとした。野口雨情(うじょう)の『七つの子』、沖野岩三郎の『馬鹿七』などが発表され、また志賀直哉のただ一編の童話菜の花と小娘』が20年1月号を飾った。29年(昭和4)7月終刊。

[向川幹雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の金の船の言及

【児童雑誌】より

…芥川竜之介,菊池寛ら執筆陣の顔ぶれの豪華さはもちろん,北原白秋指導の童謡部門,三重吉指導のつづり方部門は,今日なお高く評価されている。類似のものに《金の船》(1919。22年から《金の星》と改題),《童話》(1920),《コドモノクニ》(1922)などがあるが,ほとんどみな大正期のみで姿を消した。…

※「金の船」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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