六訂版 家庭医学大全科 「金属床義歯」の解説
金属床義歯
きんぞくしょうぎし
Metal base denture
(歯と歯肉の病気)
金属床義歯とは
金属床義歯とは、主要部分を金属でつくった入れ歯です(図45)。すべてレジン(プラスティック)で作成した入れ歯に比べて、丈夫な素材である金属を使うため快適で、たわまず、丈夫な入れ歯をつくることが可能になります。金属ならではの薄い仕上がりは違和感を少なくし、口のなかを広く感じさせ、熱の伝わりもよいので一層おいしく食事を楽しむことができます。
また、部分入れ歯の場合は、残っている歯にバネを引っかけますが、金属床の入れ歯は、その残っている健康な歯にあまり負担をかけないようなデザインが可能です。さらに、部分入れ歯を固定するためのバネを目立たないように仕上げることができます。
金属ごとの特徴
現在、金属床義歯に使われている主な金属3種類の簡単な特徴を説明します。
①金(白金加金)
金は加工性に優れているだけでなく、酸化せず腐食しないため変色が起こりません。機械的な破損がないかぎり、長く使用できる材料です。
②コバルトクロム
コバルトとクロムの合金で、金よりも安価なため一般的によく使われています。熱伝導もよく、また加工性もよいので部分入れ歯にも使用できます。
③チタン
軽く人体に対しても優しいので、最近よく使われます。とくに軽いという点で、上あごの入れ歯に向いています。ただし弾力性の点で、部分入れ歯には適さないこともあります。
羽村 章
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報