精選版 日本国語大辞典 「熱伝導」の意味・読み・例文・類語
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固体の内部で熱が温度の高い部分から低い部分へと流れていく現象をいう。熱はエネルギーの形態の一つで、熱が流出することによってその部分の温度が下がり、流入によって温度が上がる。物体の中で温度差があると、高温部から低温部へと熱の移動がおこり、全部が同じ温度になったところで移動が止まる。この状態が熱平衡である。熱伝導には、伝導電子による伝導と格子振動による伝導とがある。電気の良導体である金属では、この両者が相伴っておこっており、格子振動のみによる絶縁体に比べて、特別の場合を除き、はるかによく熱の移動が行われる。その程度を表す量を熱伝導度(あるいは熱伝導率)という。熱の流れと熱伝導率の関係は次のように考えるとわかりやすい。いま、流れに垂直な断面積sを通って1秒間に流れる熱量をQと書くと、流れの方向に測った温度勾配(こうばい)と熱伝導率Kの積でQが与えられる。
Q=K×[温度勾配]×s
熱伝導率の単位は「ジュール/秒・cm・℃」または国際単位「ワット/m・K」が使われている(単位のKは絶対温度を表すケルビンであるが、温度差を表す数値としては℃と変わらない)。熱伝導度は、物体の温度や圧力によっても一般に異なる値をとり、また異方性の結晶では、方向によって値が異なる。電気の良導体である金属は、絶縁体に比較して大きな熱伝導度をもつ。これは、伝導電子による熱伝導が格子振動による熱伝導よりもはるかに大きいことを示す証拠といえる。実際に多くの金属において、熱伝導度と電気伝導度の比に絶対温度の逆数を掛けた値がウィーデマン‐フランツの定数に近い値を示すことから、金属の熱伝導は主として伝導電子によると考えることができる。ただし、金属のなかでも、多くの合金では伝導電子が結晶格子によって散乱される程度が大きく、伝導電子による寄与は格子振動による寄与に比較してかならずしも大きいとはいえない。これは、ステンレス鋼などの熱伝導度がアルミニウムなどに比べてはるかに小さいことからも推定できる。
熱伝導率が小さいと予想される絶縁体のなかで、金属より大きな熱伝導率を示す例外的な物質がある。ダイヤモンドがそれで、熱伝導率は金属のなかでも最大の銀の2倍から4倍の値をもっている。この大きな値は、格子振動の波が試料の中を通過する速度がダイヤモンドではすべての物質のなかでとびぬけて大きいことによっている。ダイヤモンドはもっとも電気を通しにくいと同時にもっとも熱を通しやすいという性質をもつことにより、ダイヤモンドの薄膜が製作されるようになって、高度集積素子の冷却のために利用されるようになった。なお、いくつかの代表的物質の熱伝導率(室温の値)を
に示したので参照されたい。[野口精一郎]
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…また熱という概念は,熱力学の第1法則が示すようにエネルギーの一形態であり,温度の高低のみによって移動する物理量である。 熱の移動の基本形態は,熱伝導と熱放射であり,そのときの熱の移動にとくに注目するとき,それぞれ伝導伝熱,放射伝熱という。 (1)熱伝導は,液体,気体,固体をとわず発生する熱エネルギーの移動形態である。…
…それによると熱素はきわめて流動的な物質で物体中を自由に出入りし,分子間の距離を広げる役をする。 熱伝導の現象は19世紀の初めに研究が始められ,1822年にJ.B.フーリエによってその理論が与えられた。彼の理論では,熱は保存される量とみなされており,その成功は熱素説にとってつごうがよかった。…
※「熱伝導」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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