日本大百科全書(ニッポニカ) 「金永南」の意味・わかりやすい解説
金永南
きむよんなむ
(1928― )
北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の政治家。2月4日平壌(ピョンヤン)生まれ。金日成(キムイルソン)総合大学を卒業し、モスクワ大学に留学。モスクワで外交を専攻して以降、一貫して外交畑を歩む。1963年朝鮮労働党中央委員会国際部副部長、1972年対外文化連絡委員会副委員長。外務省副相、党中央委員会国際部副部長を経て、1972年同部長、1975年党中央委員会国際担当書記、1978年党政治局委員、1983年政務院副総理兼外交部長(現在の外相)。1989年に祖国平和統一委員会副委員長。1998年9月の憲法改正時に新設された最高人民会議常任委員長に就任後は、新任大使の信任状受理や外遊等、対外的に国家元首的な役割を果たす。2010年9月の第3回党代表者会で党政治局常務委員。2019年4月に最高人民会議常任委員長を円満引退。粛清・失脚の多い北朝鮮史上では珍しく金日成、金正日(キムジョンイル)、金正恩(キムジョンウン)と三代の指導者から信任を得た高位級幹部といえる。最高人民会議代議員も第5期から第14期まで、ほぼ半世紀にわたって務めた。
[礒﨑敦仁 2020年2月17日]