ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キム・ジョンイル」の意味・わかりやすい解説
キム・ジョンイル(金正日)
キム・ジョンイル
Kim Jǒng-il
[没]2011.12.17. 朝鮮民主主義人民共和国
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の政治家。キム・イルソン(金日成)と前妻金正淑(1949死去)の長男。ソビエト連邦で出生し,解放後父母とともに帰国。1963年キム・イルソン総合大学卒業後,朝鮮労働党中央委員。1970年第5回党大会で中央委員会文化芸術部長。1973年党中央委員会第5期 7次全員会議で宣伝担当秘書,政治委員候補に選出され,6ヵ年計画の繰り上げ達成のため三大革命運動を推進,労働者を総動員し,その最高指導者となった。1974年政治委員となり,1980年第6回党大会で党秘書,中央委員,政治局員,軍事委員に就任し,キム・イルソン主席の後継者と目され,以後「金父子体制」が構築される。1983年6月中国を非公式に訪問し,鄧小平,李先念,趙紫陽らと会見。1980年代初めにはチュチェ思想塔(→チュチェ思想)や人民大学習堂などの「記念碑的大建造物」を建設。1991年12月人民軍最高司令官に選出,1992年4月共和国元帥の称号を授与される。1993年4月最高人民会議により国防委員長に選出され軍部も掌握。キム・イルソン総書記兼国家主席没後,3年あまり空席であった党総書記の地位に 1997年10月就任。1998年9月国防委員長に再任,同時に憲法改正に伴い国家主席の地位が廃止されて国防委員長が国家の最高位となったため,国家元首となった。社会主義国家ではきわめて特異な父から子への権力継承が行なわれたことになる。2000年5月,中国を訪問し江沢民主席と会談。同年6月にはピョンヤン(平壌)に大韓民国(韓国)のキム・デジュン(金大中)大統領を迎え,第2次世界大戦後の南北分断以降初の対話となる南北首脳会談を行なった。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報