最高人民会議(読み)さいこうじんみんかいぎ

共同通信ニュース用語解説 「最高人民会議」の解説

最高人民会議

立法権を持つ最高主権機関。憲法改正ほか、国務委員長や最高人民会議常任委員長、首相らの選出、首相の提議による閣僚任命国家予算承認などを行う。実務執行機関として常任委員会があり、最高人民会議の招集や省の設置、廃止、外国との条約批准などを行う。政策決定は事実上、朝鮮労働党主導代議員任期は5年。28日招集された会議は2019年3月の代議員選挙で選出された687人による第14期第5回会議。金正恩キム・ジョンウン党総書記は19年の選挙に出ず、最高指導者として初めて代議員に選出されていない。(北京共同)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「最高人民会議」の意味・わかりやすい解説

最高人民会議
さいこうじんみんかいぎ

北朝鮮朝鮮民主主義人民共和国)の立法機関国会に相当すると表現されることもあるが、憲法上の位置づけは「最高主権機関」。毎年4月に開催されるのが通例だが、年に2回以上開催されることもある。議題は、予算・決算や法律の採択人事などである。国家元首たる国務委員長を選出する。代議員任期は5年だが、数年の任期延長が常態化した時期もあった。選挙は小選挙区に立候補者1人という信任投票である。

 次のような権限をもつとされる。(1)憲法を修正、補足する。(2)部門法を制定、または修正、補足する。(3)最高人民会議の休会中に最高人民会議常任委員会が採択した重要部門法を承認する。(4)国家の対内外政策の基本原則を制定する。(5)国務委員会委員長を選出、または召還する。(6)最高人民会議常任委員会委員長を選出、または召還する。(7)朝鮮民主主義人民共和国国務委員会委員長の提議により、国務委員会第一副委員長、副委員長、委員を選出、または召還する。(8)最高人民会議常任委員会の副委員長、書記長、委員を選出、または召還する。(9)内閣総理を選出、または召還する。(10)内閣総理の提議により、内閣副総理、委員長、相(大臣)、その他の内閣成員を任命する。(11)中央検察所所長を任命、または解任する。(12)中央裁判所所長を選出、または召還する。(13)最高人民会議の各部門委員会の委員長、副委員長、委員を選出、または召還する。(14)国家の人民経済発展計画と、その実行状況に関する報告を審議し、承認する。(15)国家予算とその執行状況に関する報告を審議し、承認する。(16)必要に応じて、内閣と中央機関の活動状況の報告を受け、対策を講じる。(17)最高人民会議に提出された条約の批准、廃棄を決定する。

 最高人民会議休会中には最高人民会議常任委員会も立法権を行使できるとされ、その委員長は1998年9月以降、2019年4月に崔龍海(チェリョンヘ)が就任するまで一貫して金永南(キムヨンナム)が務めてきた。

 第1期第1回会議は1948年9月の建国に際して召集。金正日(キムジョンイル)政権下では4年間以上にわたり開催されない時期もあったが、金正恩(キムジョンウン)政権下では1年に1、2回開催されている。1990年の第9期以降代議員定数は687名。執政政党である朝鮮労働党が多数を占めるが、衛星政党である朝鮮社会民主党や天道教青友党の議員、無所属議員のほか、在日本朝鮮人総連合会に所属し日本在住の代議員も複数存在し、ヘゲモニー政党制を確立している。会議では満場一致で議案が可決される。2019年の憲法改正により、国家を代表する「最高領導者」である国務委員長は、代議員を務めないこととなった。

[礒﨑敦仁 2020年2月17日]

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