日本大百科全書(ニッポニカ) 「釣り堀」の意味・わかりやすい解説
釣り堀
つりぼり
池や沼、あるいは清流の一部を仕切って、そこに魚を放流し、有料で釣らせる場所。東京ではコイの釣り堀、関西ではヘラブナの釣り堀が明治・大正時代にすでにみられた。ヘラブナの釣り堀(俗に「はこ」という)は、関西でヘラブナ養魚池を大正末期に一部釣り人に釣らせたのが始まりとされ、東京では1931年(昭和6)秋、大田区蒲田(かまた)にできた「釣楽園」が最初である。清流の一部を仕切った場所ではニジマスを放流して釣らせるのが一般的で、これを常設ニジマス釣り場という。西日本や関東の一部ではアマゴ、ヤマメなどを放流して釣らせているところもある。
また、灌漑(かんがい)用水池などにヘラブナを放流・管理して有料で釣らせる場所を管理釣り場という。西日本、とくに名古屋市郊外では「寄せ場」というヘラブナ釣り堀もある。これは、もともとは、大川の魚を入り江に網で引いて寄せ、出口を仕切り、いつでも出荷できるようにした場所であった。1950年(昭和25)ごろ、愛知県海部(あま)郡の佐屋川にヘラブナ専門の有料寄せ場が開かれ、周辺にも広がった。
釣り堀では、初心者でもよく釣れるように放流・補給しているが、ヘラブナでは釣った魚は持って帰れない。コイ釣り堀は制限尾数内で持ち帰れるところが多い。ニジマスなどは制限尾数を設けてあるところと、釣り取り制とがある。
[松田年雄]