化学辞典 第2版 「銅化合物」の解説
銅化合物
ドウカゴウブツ
copper compound
銅の化合物には,酸化数が1~3のものが知られている.【Ⅰ】銅(Ⅰ)化合物:第一銅化合物ともよばれる.無色の化合物が多い.Cu2Oは例外で赤色である.銅(Ⅰ)イオンは水を配位しても無色に近い.水溶液は不安定で,不均等化反応で銅と銅(Ⅱ)イオンになる.
2Cu+ → Cu + Cu2+
不溶性の塩および共有結合をもつ錯イオンとして安定である.【Ⅱ】銅(Ⅱ)化合物:第二銅化合物ともよばれる.銅の化合物の大部分は銅(Ⅱ)の化合物である.各種の塩の水和物および水溶液は,特徴的な青または青緑色である.これは Cu2+ に水分子が配位してアクア錯イオンをつくっているからである.無水物は白から黒色まで変化に富んでいる.相手の陰イオンとして,ハロゲン,硫酸根などの強い酸根をもつ化合物は,たいてい水に易溶で,希薄な溶液では完全解離に近い.また,水分子のほか,各種の分子,陰イオンを配位して錯イオンをつくりやすい.可溶性の塩はすべて有毒である.【Ⅲ】銅(Ⅲ)化合物:非常に少ない.K[CuⅢ O2],K3[CuⅢ F6],Na7[CuⅢ (IO6)2]などが知られている.無機銅塩類として劇物指定(雷銅を除く).銅水溶性塩(錯塩を除く)はPRTR法・第一種化学物質指定.生態毒性クラス1.水道法水道水質基準 銅として1 mg L-1 以下.水質汚濁法排水基準 銅として5 mg L-1 以下.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報