鋼鉄都市(読み)こうてつとし(その他表記)The Cave of Steel

日本大百科全書(ニッポニカ) 「鋼鉄都市」の意味・わかりやすい解説

鋼鉄都市
こうてつとし
The Cave of Steel

アメリカのSF作家アイザック・アシモフロボット・テーマのSFミステリー(1954)。はるかな未来、地球人は広所恐怖症にかかり鋼鉄造りの都市で暮らし、一方、かつて他の星々に移民した地球人の子孫は宇宙都市を隣接してつくり、精巧なロボットを使役している。その宇宙都市で宇宙人の重要人物が熱線銃で殺されるという事件が起きた。宇宙人は、犯人を地球人と断定してロボット刑事を派遣してきた。宇宙人はウイルスに対する免疫がないため、地球人と直接、接触することができないからである。地球人にしてみればおうへいな宇宙人とそのロボットに反感を抱いていたから、地球人の担当刑事にとってロボットとコンビを組むことは不本意な話だった。地球人、宇宙人、ロボットというSFならではの特異な状況設定のもとに本格的犯人捜しが展開する。

厚木 淳]

『福島正実訳『鋼鉄都市』(ハヤカワ文庫)』

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デジタル大辞泉プラス 「鋼鉄都市」の解説

鋼鉄都市

米国の作家アイザック・アシモフの長編SFミステリ(1954)。原題《The Caves of Steel》。「ロボット工学三原則」の盲点を突いたSFミステリの傑作

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の鋼鉄都市の言及

【アシモフ】より

…在学中からSFを書きはじめ,日本では50年代中ごろから広く読まれるようになった。《アスタウンディング》誌の編集長J.W.キャンベルの助言によってまとめたロボット工学の三原則に基づくロボット物(《わたしはロボット》《鋼鉄都市》など)や,E.ギボンの《ローマ帝国衰亡史》を思わせるファウンデーション・シリーズ(《銀河帝国の興亡》)などの未来叙事詩,ファン投票により世界SF大会で授与される伝統ある〈ヒューゴー賞〉の受賞作品集における機知にあふれた著者紹介などにより知られているが,200冊を超える著作のかなりの部分を,数学,物理学,天文学,化学,生物学,歴史など幅広い分野にわたる啓蒙解説書が占める。また,ミステリー(《黒後家蜘蛛の会》など)にも意欲を示し,SFの中にもその傾向がみられるものがある。…

※「鋼鉄都市」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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