アメリカのSF作家、生化学者。アジモフともいう。ロシアのスモレンスク市郊外で生まれ、3歳のとき一家とともにアメリカに移住して帰化した。コロンビア大学で化学を専攻。のちボストン大学で生化学者として核酸の研究に専念する。SF作家としての活動は広範囲にわたるが、SFに対する貢献は大別して三つに分類できる。その一は短編集『わたしはロボット』(1950)に代表されるロボット・テーマの作品で、有名な「ロボット工学の三原則」は彼が提唱したものである。その二は『銀河帝国の興亡』三部作(1951~1953)を中心とする壮大な人類の未来史を描くクロニクルSF。その三はSFとミステリーを結合させて新分野を開いた、ロボット刑事が活躍する『鋼鉄都市』(1953)と『裸の太陽』(1957)である。このほか、平行宇宙とエーリアン(異星人)をテーマにした『神々自身』(1972)により『銀河帝国』に続いてヒューゴー賞を受賞した。SF以外の分野では1970年代から書き続けている連作短編『黒後家蜘蛛(くも)の会』が洒脱(しゃだつ)な本格ミステリーとして高い評価を受け、啓蒙(けいもう)的な多数の科学解説書も含めて著作の総計は200近い。1977年春には『アイザック・アシモフズ・SFマガジン』を創刊して、精力的な活動を続けた。
[厚木 淳]
『山高昭訳『アシモフ自伝 Ⅰ』(1983・早川書房)』
アメリカの作家,生化学者。アジモフとも呼び,SF,科学啓蒙書の書き手として名高い。ロシアのスモレンスクに近いペトロビッチ生れ。3歳で渡米,8歳で帰化。1939年コロンビア大学を卒業。49年ボストン医大に就職し,79年から教授。在学中からSFを書きはじめ,日本では50年代中ごろから広く読まれるようになった。《アスタウンディング》誌の編集長J.W.キャンベルの助言によってまとめたロボット工学の三原則に基づくロボット物(《わたしはロボット》《鋼鉄都市》など)や,E.ギボンの《ローマ帝国衰亡史》を思わせるファウンデーション・シリーズ(《銀河帝国の興亡》)などの未来叙事詩,ファン投票により世界SF大会で授与される伝統ある〈ヒューゴー賞〉の受賞作品集における機知にあふれた著者紹介などにより知られているが,200冊を超える著作のかなりの部分を,数学,物理学,天文学,化学,生物学,歴史など幅広い分野にわたる啓蒙解説書が占める。また,ミステリー(《黒後家蜘蛛の会》など)にも意欲を示し,SFの中にもその傾向がみられるものがある。
執筆者:久慈 要
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…一風変わったところでは,ビリエ・ド・リラダンの《未来のイブ》(1886)が,機械美女アダリーを生んだエジソン(アメリカの発明王エジソンがそのモデル)の才能にことよせて科学技術の精華をひたすら詩的にうたいあげているのが興味深い。 20世紀に入って,科学技術の発展によりロボットの開発が現実的問題になりだす1940年代初頭には,I.アシモフが〈ロボット3原則〉を提示して,従来のロボットSFの抽象性と矛盾を払拭(ふつしよく)し,明快な論理をそこに据えた。この3原則は,(1)ロボットは人間に危害を加えてはならず,また人間が危害に遭うのを見のがしてもいけない,(2)ロボットは人間から与えられた命令に,それが(1)に反しない限り従わなければならない,(3)ロボットは(1),(2)に反しない限り自分の身を守らなければならない,という3条文から成る。…
※「アシモフ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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