アシモフ(読み)あしもふ(英語表記)Issac Asimov

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アシモフ」の意味・わかりやすい解説

アシモフ
あしもふ
Issac Asimov
(1920―1992)

アメリカのSF作家、生化学者。アジモフともいう。ロシアのスモレンスク市郊外で生まれ、3歳のとき一家とともにアメリカに移住して帰化した。コロンビア大学で化学を専攻。のちボストン大学で生化学者として核酸の研究に専念する。SF作家としての活動は広範囲にわたるが、SFに対する貢献は大別して三つに分類できる。その一は短編集『わたしはロボット』(1950)に代表されるロボット・テーマの作品で、有名な「ロボット工学の三原則」は彼が提唱したものである。その二は『銀河帝国の興亡』三部作(1951~1953)を中心とする壮大な人類の未来史を描くクロニクルSF。その三はSFとミステリーを結合させて新分野を開いた、ロボット刑事が活躍する『鋼鉄都市』(1953)と『裸の太陽』(1957)である。このほか、平行宇宙とエーリアン(異星人)をテーマにした『神々自身』(1972)により『銀河帝国』に続いてヒューゴー賞を受賞した。SF以外の分野では1970年代から書き続けている連作短編『黒後家蜘蛛(くも)の会』が洒脱(しゃだつ)な本格ミステリーとして高い評価を受け、啓蒙(けいもう)的な多数の科学解説書も含めて著作総計は200近い。1977年春には『アイザック・アシモフズ・SFマガジン』を創刊して、精力的な活動を続けた。

厚木 淳]

『山高昭訳『アシモフ自伝 Ⅰ』(1983・早川書房)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アシモフ」の意味・わかりやすい解説

アシモフ
Asimov, Isaac

[生]1920.1.2. ペトロビチ
[没]1992.4.6. ニューヨーク
アメリカの SF作家,生化学者。ソ連で生れ,3歳のときアメリカに渡りニューヨークで育つ。コロンビア大学で博士号を取得。長年ボストン大学で教鞭をとる一方,ロボットの発達した未来社会を描く『われはロボット』I,Robot (1950) などの「ロボット・シリーズ」,銀河系宇宙を征服した人類の物語『銀河帝国の興亡』 Foundation (51) などの「銀河帝国シリーズ」をはじめ,数多くの SFを書いた。 1960年代は一般向けの科学解説書が多く,70年代から再び小説を発表。「ロボット・シリーズ」と「銀河帝国シリーズ」を結合させた多くの長編がある。

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