1318年(文保2)12月20日から19年(元応1)9月15日までの間、前後3回にわたって北条高時(たかとき)の御前で行われたといわれる日蓮(にちれん)宗と他宗派との問答。問答は内管領(うちかんれい)長崎入道円喜(えんき)の邸内で行われ、加賀阿闍梨(かがあじゃり)十宗坊、樟曽根(くぬきそね)入道慧海(えかい)、伊羅護(いらご)律師道日(どうにち)らが日蓮宗を批判したのに対して、日蓮の孫弟日印(にちいん)がこれに反論し、諸宗堕獄と断じて彼らを屈伏せしめようとしたとされている。鎌倉末期における日蓮宗と他宗派との関係をうかがうことができる事件である。事件の内容は列席した日印の弟子の日静がこれを記録、『鎌倉殿中問答記』(1巻)として残っており、『改定史籍集覧』に所収。またこの注釈書として日達の『鎌倉殿中問答記略註(りゃくちゅう)』がある。
[伊藤喜良]
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