一巻(読み)イチマキ

デジタル大辞泉 「一巻」の意味・読み・例文・類語

いち‐まき【一巻】

巻子本かんすぼん絵巻などの一つの巻全部。いっかん。
話や事件などのすべて。一部始終
一族一団
「女の多い―で」〈藤村・春〉

ひと‐まき【一巻(き)】

一度巻くこと。
巻いてあるもの一つ。「絵巻物一巻き」「毛糸一巻き買う」
連歌・連句で、歌仙百韻千句などの一つの作品
一族。同族

いっ‐かん〔‐クワン〕【一巻】

巻物フィルムなど巻いてあるもの一つ。巻物になっていない書物にも用いる。
最初の巻。第1巻。

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精選版 日本国語大辞典 「一巻」の意味・読み・例文・類語

ひと‐まき【一巻】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 一度巻くこと。
    1. [初出の実例]「Spiræ〈略〉クビニ カケタル クサリ ナドノ fitomaqi(ヒトマキ)、フタマキ」(出典:羅葡日辞書(1595))
  3. 巻いてある物の一つ。反物・巻物・巻いた糸などの一つ。また、一つの本。いっかん。
    1. [初出の実例]「たもてりし法花経のあはせてひとまきにせるあらん」(出典:関戸本三宝絵(984)中)
  4. 連歌・連句で歌仙・百韻・千句などの一つの作品。
  5. 血縁につながる集団。一族。同族。
    1. [初出の実例]「吠えかかった地廻りの一巻(ヒトマキ)かと息を呑む暇もなく」(出典:普賢(1936)〈石川淳〉一〇)
  6. 物事の一切合財。また、事件の一部始終。全部。
  7. 一件。

いち‐まき【一巻】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 書巻、絵巻物などの一巻全部。
  3. 事件の一部始終。また、ものごとの全部。いっさい。
    1. [初出の実例]「命を限りに尋あひ、此一まきを云わけし」(出典:浄瑠璃・自然居士(1697頃)三)
  4. 血縁で結びついた集団。一族。また、集合したり同行したりしている一団。
    1. [初出の実例]「いちまきが寄るとはなしのおもしろさ」(出典:雑俳・川柳評万句合‐宝暦一一(1761)八月五日)
    2. 「一族(イチマキ)の『お頭(かしら)』と言はれる家柄であった」(出典:破戒(1906)〈島崎藤村〉一)

いっ‐かん‥クヮン【一巻】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 巻いてあるものの一つ。おもに書物、フィルムなどにいう。巻物になっていない書物などにも用いられる。
    1. [初出の実例]「著述愚志一巻僧尼之事」(出典:続日本紀‐天平一九年(747)一〇月辛卯)
  3. いくつかに分かれたものの最初の巻。第一巻。

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